プラスチック(樹脂)に
電気めっきを
処理する原理[樹脂めっきの原理]

樹脂めっきの原理イメージ

主な処理材料

主な処理材料→ABS樹脂/PC-ABS樹脂

ABS樹脂とは・・・

A = アクリロニトリル
B = ブタジエン
S = スチレン
この3つの元素の
集合体をABS樹脂
と言います

PC-ABSは「ポリカーボネート」ABS樹脂であり、通称「ポリカABS」と呼ばれています。

PC-ABSはABSに比べて耐衝撃性、耐熱性に優れているため自動車外装品に使用されることが多いですが、めっき処理においてはエッチングがかかりづらく、めっき未着などが発生し材料によってはめっき処理が不可な物が存在します。

成形品
成形品
めっき品
めっき品
塗装品
塗装品

前処理工程

アルカリ脱脂

樹脂表面上の汚れをアルカリ性の脱脂剤により除去する工程。

【汚れ】とは・・・
油脂、皮脂、指紋などの有機物や、製品の静電作用によるゴミやホコリなどの付着物
アルカリ脱脂

界面活性

樹脂表面のエアーポケットを除去し、次工程の「エッチング」をムラなく均一に作用させる工程。

※この工程での処理が不十分だと次工程の処理が十分に行われないため、結果的にめっき密着力に大きく影響を及ぼしてしまう。平面の製品よりフロントパネルなど形状が複雑な物の方がエアー溜まりが起きやすい。
界面活性

エッチング(アンカー発生)

エッチング液の作用によりABS樹脂のB(ブタジエン)が溶解し、樹脂表面に凸凹(アンカー)を生じさせる工程。

このアンカーにめっき被膜が均一に処理されると、アンカーが引っ掛かりとなりめっき被膜が剥がれにくくなる・・・つまりめっき密着力が上がる。
エッチング(アンカー発生)

触媒付与

樹脂表面に伝導性被膜析出の触媒となるパラジウムを吸着させる工程。

触媒付与

無電解ニッケル(化学ニッケル)

化学ニッケルにより伝導性被膜を形成する工程。

活性化させたPd(パラジウム)に無電解ニッケル被膜を形成し、ABS樹脂表面に電気を流す為の準備を行う。
無電解ニッケル(化学ニッケル)

電気めっき工程

ストライクニッケルめっき
硫酸銅めっき
半光沢ニッケルめっき
トリニッケルめっき
光沢ニッケルめっき
マイクロポーラスニッケルめっき
六価クロムめっき/三価クロムめっき

アルカリ脱脂

電気めっきの仕組み ①

  • 電極

    直流電流で(−)極にめっきが析出し、(+)極で金属が溶解する。付けたい金属(銅やニッケル)を(+)極に、めっき処理したい製品を(−)極にセットする。

  • アノード

    めっき皮膜の基になる金属。銅めっき工程には銅ボール、ニッケルめっき工程にはニッケルチップ、クロム工程には鉛または白金を使用している。

  • アノードケース

    アノードを入れるためのケース。ケースに電気を流してアノードに通電させる電極ケースの役割も担う。陽極バー→アノードケース→アノードの順で電気が流れて金属イオンとなる。

  • アノードバッグ

    アノードが溶け出す際に生じるスラッジ(汚泥)がめっき液に混入するのを防ぐ布製のバッグ。混入するとザラ不良の原因になる。

  • アルカリ脱脂

    アノードバッグイメージ

  • エア撹拌

    製品面に発生する水素ガスをはがすため、液中に空気を送り循環させる。放置するとピット不良の原因になる。

  • ろ過機(ろ過装置)

    液中の微細なゴミを除去し、綺麗な状態でめっき槽に戻す。ゴミが残るとザラ・シミなどの不良につながる。液をポンプで吸い取りフィルターを通して微細なゴミを除去し、綺麗になった液をめっき槽に戻す仕組み。フィルターを定期的に交換することでろ過能力を保っている。

  • 局所排気装置

    処理中に発生するガス・ミストを排出する、労働安全衛生法に定められた法令設備。

電気めっきの仕組み ②

アルカリ脱脂

ストライクニッケル工程

  • 伝導性被膜を強化する工程

    無電解ニッケルで析出させた伝導性皮膜が電気の勢いに負けて消失してしまわないよう、薄い皮膜を析出させる。

アルカリ脱脂

硫酸銅めっき工程

  • めっき表面の下地を作る工程

    樹脂の上に金属皮膜を析出していくと、樹脂と金属の硬さの違いが大きく車両取り付け時にめっきにクラック(ヒビ)が入ってしまう。これを防ぐために金属の中では展延性に優れた銅を下地とすることでクラックを防止している。また、レベリング効果が高いため素地の微小な凹凸を平坦に均してくれる事でめっき処理後外観品質に大きな影響を与える。

アルカリ脱脂

※銅めっき膜厚を具体的に数値で指定している規格や、ニッケルめっきの◯倍以上など、各カーメーカー様によって規格膜厚は異なります。

ニッケルめっき工程

  • 耐食性を持たせる工程

    ニッケルめっきには半光沢Ni(SB Ni)、トリNi(T Ni)、光沢Ni(B Ni)、マイクロポーラスNi(M/P Ni)の4種類あり、それぞれ異なる特性を持っているが総合的に4種類のニッケルめっきが合わさって耐食性が作り上げられ、また、装飾めっきとしての光沢感が出る。
    M/P以外のニッケルの処理数で二重ニッケル又は三重ニッケルと呼ばれており、三重ニッケルは二重ニッケルよりも耐食性に優れているため、膜厚規格が薄めに設定されているメーカーがある。

アルカリ脱脂

※ニッケルめっきは規格でどのメーカーも数値指定がされている。

M/P(マイクロポーラス)ニッケルめっき

  • 微孔数(びこうすう)=微小孔数(びしょうこうすう)

    めっき面にパウダーを電着させ、その上からクロムめっきを処理する事で肉眼では見えない非常に微小な穴が空く。
    めっきは金属の為、大気に触れた瞬間から腐食が始まるが、パウダーにより腐食進行が妨害される為、耐食性(対腐食性)に対して非常に重要な工程。

クロムめっき工程

  • 装飾めっきとして外観の仕上げをする工程

    ニッケルまで処理した製品に外観の仕上げとして六価クロムめっき又は三価クロムめっきを析出させる工程。クロムめっき処理後は洗浄→乾燥を行い、めっきラインから完成品が出てくる。

アルカリ脱脂

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